イーサリアム(ETH)は、2021年に一時48万円台まで高騰し、多くの投資家に大きなリターンをもたらしたことで話題となりました。現在も時価総額約48兆円、ランキング2位という主要な暗号資産としての地位を確立しています。しかし近年、「オワコン(終わったコンテンツ)」と評される場面も増えてきました。
2025年2月現在、イーサリアムの現物ETF承認や「Pectra」アップグレード計画、DeFi市場の拡大など、将来性を左右する新たな展開が相次いでいます。一方で競合ブロックチェーンの台頭やイーサリアム財団の組織的課題など、懸念材料も存在します。
本記事では、イーサリアムの特徴や「オワコン」と言われる理由を検証しつつ、将来性を多角的に分析します。また、初心者向けの取引所や投資する際の注意点まで、実用的な情報を解説していきます。
イーサリアム(ETH)とは?初心者にもわかりやすく解説
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イーサリアムとは、2015年に公開されたブロックチェーン技術を基盤とした分散型プラットフォームです。ビットコインが「デジタルゴールド」や「決済手段」として設計されたのに対し、イーサリアムはアプリケーション開発基盤としての役割に重点を置いています。
イーサリアムの基軸通貨は「イーサ(ETH)」と呼ばれ、一般的には通貨自体もイーサリアムと呼ばれることが多いです。イーサは取引手数料(ガス代)の支払いやプラットフォーム内での価値交換に使用されます。現在の時価総額はビットコインに次いで世界第2位を誇り、2025年2月時点で約48兆円の規模に達しています。
項目 | 詳細 |
---|---|
名称 | イーサ、イーサリアム |
ティッカーシンボル | ETH |
基盤ブロックチェーン | イーサリアム |
コンセンサスアルゴリズム | プルーフ・オブ・ステーク(PoS) |
発行枚数 | 発行上限なし(年間発行量に制限あり) |
発行年 | 2015年 |
2022年9月に実施された大型アップデート「The Merge」により、イーサリアムはプルーフ・オブ・ステーク(PoS)という環境に優しいコンセンサスアルゴリズムへ移行しました。この移行によりエネルギー消費量が大幅に削減され、ネットワークの効率化が図られています。PoSへの移行は、持続可能な仮想通貨としてのイーサリアムの価値を高める重要な一歩となりました。
イーサリアム(ETH)の4つの特徴
イーサリアムが仮想通貨市場で高い評価を得ている理由は、単なる決済手段を超えた多様な機能性にあります。ここではイーサリアムの4つの主要な特徴について解説します。これらの特徴を理解することで、「イーサリアムはオワコンなのか」という疑問に対する答えの手がかりが見えてくるでしょう。
スマートコントラクトによる自動実行機能
イーサリアムの最も革新的な特徴は、スマートコントラクト機能です。スマートコントラクトとは、特定の条件が満たされると自動的に実行される自己完結型のプログラムのことで、第三者の介入なしに契約を履行できるようになります。例えば「商品が届いたら自動的に代金が支払われる」といった条件付き取引を実現できます。
スマートコントラクトは「if-then」ロジックに基づいており、条件が満たされるとイーサリアム・バーチャル・マシン(EVM)が自動的にコントラクトを実行して取引を完了させます。この仕組みにより、中間業者が排除され、取引コストと時間が大幅に削減されます。また、全ての取引がブロックチェーン上に記録されるため、透明性が高く、一度デプロイされたスマートコントラクトは改ざんが極めて困難であるため、セキュリティも強化されています。
実用例としては、保険金の自動支払いシステム、音楽ロイヤリティの即時分配、サプライチェーン管理、不動産取引などが挙げられます。例えば、農作物保険では気象データと連動して、一定以上の降水量が記録された場合に自動的に保険金が支払われるような仕組みが実現可能です。このような自動化された契約執行メカニズムは、従来のビジネスモデルを根本から変革する可能性を秘めています。
DApps(分散型アプリケーション)のプラットフォームとしての地位
イーサリアムは分散型アプリケーション(DApps)開発の主要プラットフォームとして確固たる地位を築いています。DAppsとは、中央集権的なサーバーではなくブロックチェーン上で動作するアプリケーションであり、透明性が高く、改ざんに強いという特徴を持っています。2025年2月時点で、イーサリアムチェーンはDeFi(分散型金融)分野での預かり資産において全体の約55%を占めており、次点のTronチェーン(約15%)を大きく引き離しています。
イーサリアムのDApps開発環境の強みは、オープンソースであること、高い分散性による可用性、そして独自トークン発行によるインセンティブ設計が可能な点にあります。具体的なDAppsの例としては、分散型取引所のUniswap、レンディングプラットフォームのAave、NFTマーケットプレイスのOpenSeaなどが挙げられます。これらはすべてイーサリアム上に構築されており、従来の中央集権型サービスに代わる新たな選択肢として機能しています。
特にUniswapのような分散型取引所は、ユーザーが仮想通貨の交換や預入などを中央集権的な取引所の制限なしに行えるという画期的なサービスです。このようなアプリケーションが次々とイーサリアム上に構築されるため、多くのユーザーがイーサリアムのエコシステムを利用し、その発展に貢献しています。
ただし、DeFiエコシステムの多くがステーブルコインに依存しているという課題もあります。ステーブルコインとは主に米ドルと同じ価格になるように設計された仮想通貨で、USDT、USDC、BUSDなどが代表例です。これらのステーブルコインの流通があってこそDeFiのガバナンストークンに価値が付いている側面があるため、ステーブルコインに致命的な問題が発生した場合、イーサリアムエコシステム全体に影響を及ぼす可能性があります。
分散型自律組織(DAO)の構築基盤
イーサリアムは分散型自律組織(DAO)の構築に最適なプラットフォームとして広く認知されています。DAOとは、中央集権的な管理者を必要とせず、コミュニティメンバーによって運営される新しい組織形態です。従来の組織構造では実現困難だった、真に分散化された自律的な組織運営を可能にしています。
イーサリアムがDAOの基盤として優れている理由は3つあります。まず、スマートコントラクト機能によりDAOの運営ルールをコード化し自動実行することが可能です。次に、ERC-20規格を利用した独自トークンシステムにより、組織の運営に必要なガバナンストークンを簡単に発行できます。さらに、ブロックチェーン上での透明なトランザクション記録により、組織活動の完全な透明性が確保されます。
また、DAOはコミュニティ主導の資金調達や投資決定も可能にします。例えば、ConstitutionDAOは米国憲法の原本購入のために短期間で4700万ドルを調達し、NFT DAOsは共同でのデジタルアート収集を行っています。このように、イーサリアムのDAO基盤は、組織運営の新たなパラダイムを創出しており、将来的には企業統治や公共サービス提供の方法にも変革をもたらす可能性を秘めています。
NFTマーケットの中心的存在
イーサリアムは非代替性トークン(NFT)市場の中心的存在として不動の地位を確立しています。NFTとは「Non-Fungible Token(ノン ファンジブル トークン)」の略称で、ブロックチェーン技術を応用して唯一無二性を付与されたデジタルデータのことです。イーサリアムではERC-721やERC-1155という標準規格を通じて、誰でも簡単にNFTを作成・取引することが可能になっています。
イーサリアムのNFTプラットフォームとしての強みは主に3つあります。まず、OpenSeaやRaribleなど大規模なNFTマーケットプレイスがイーサリアム上で運営されており、高い流動性を提供しています。次に、異なるプラットフォーム間でNFTを移動・取引する相互運用性に優れており、メタバース間の資産移動にも応用可能です。さらに、豊富な開発リソースと活発なコミュニティにより、革新的なNFTゲームが次々と生まれる豊かな開発者エコシステムを形成しています。
このように、イーサリアムはNFTの創造性と価値を最大限に引き出すプラットフォームとして、デジタル資産の新時代を切り開く重要な役割を果たしています。NFT市場の拡大と共に、イーサリアムの価値も高まっていくという好循環が期待されています。
イーサリアム(ETH)の歴史と主要な出来事
イーサリアムの歴史を理解することは、その将来性を評価する上で重要です。草創期から現在に至るまでの主要な出来事を追うことで、イーサリアムがどのように進化し、「オワコン」ではなく継続的に発展してきたかが見えてきます。
2015年7月:イーサリアムのローンチ
イーサリアムは、当時19歳だったヴィタリック・ブテリン氏が率いるイーサリアム財団によって開発されました。2014年のプレセールで約6000万ドル相当のビットコインを調達し、2015年7月30日に正式にメインネットが稼働を開始しました。
初期バージョン「フロンティア」では、取引はできるものの実証実験的な性格が強く、データはブロックチェーンに完全には記録されない状態でした。当時のイーサリアムの価格は1ETHあたり約0.75ドルで、スマートコントラクトという革新的な概念を導入したことで、ブロックチェーン技術の新たな可能性を示しました。
イーサリアムの創設は、単なる決済手段を超えたブロックチェーンの応用可能性を世界に示した画期的な出来事でした。イーサリアムの創設メンバーには、後に独自のブロックチェーンプロジェクトを立ち上げたガビン・ウッド氏、チャールズ・ホスキンソン氏なども含まれており、多様な人材が集まっていたことが技術的基盤の強さにつながりました。
2016年:The DAO事件とホームステッドアップデート
2016年3月14日、約半年の実証期間を経て「ホームステッド」アップデートが実施されました。このアップデートによりイーサリアムは本格的な稼働段階に入り、企業や個人によるDApps開発が活発化し始めました。セキュリティやパフォーマンスが向上し、より安定したプラットフォームへと進化しました。
しかし2016年6月には、イーサリアム史上最大の危機となる「The DAO事件」が発生します。The DAOは分散型投資ファンドとして約1.5億ドル相当のETHを集めましたが、スマートコントラクトの脆弱性を突かれ、約360万ETH(当時約52億円)が不正流出する事態となりました。
この危機に対応するため、イーサリアムはハッキング前の状態に戻す「ハードフォーク」を実施しました。この決定に反対するグループは元のチェーンを「イーサリアムクラシック(ETC)」として存続させ、ETHとETCの二つに分裂することとなりました。この事件は、スマートコントラクトのセキュリティリスクとブロックチェーンガバナンスの重要性を業界全体に示す教訓となりました。
2017年〜2020年:スマートコントラクトの普及とDeFiの成長
2017年10月から「メトロポリス」アップデートが段階的に実施され、スマートコントラクト開発の簡易化、ネットワークセキュリティの強化、プライバシー保護の向上が図られました。この時期、イーサリアム上でのICO(Initial Coin Offering)ブームが起こり、多くのプロジェクトがイーサリアムプラットフォーム上で独自トークンを発行して資金調達を行いました。
2017年後半から2018年初頭にかけての仮想通貨バブルでは、イーサリアムの価格が10ドル前後から1,400ドル超まで急騰しました。その後の「仮想通貨冬の時代」でも開発は継続され、特に分散型金融(DeFi)エコシステムの基盤が構築されました。MakerDAO、Compound、Aaveといった主要DeFiプロトコルがこの時期に誕生しています。
2020年には世界的な金融緩和策を背景に仮想通貨市場が回復し、夏には「DeFiサマー」と呼ばれるDeFiプロジェクトへの大規模な資金流入が発生しました。イーサリアムの総価値ロック量(TVL)は急増し、プラットフォームとしての重要性が高まりました。同時にNFT(非代替性トークン)への関心も徐々に高まり始め、イーサリアムの用途がさらに拡大していきました。
2020年12月:イーサリアム2.0の開始
2020年12月1日、イーサリアムの最も野心的なアップグレード「イーサリアム2.0」(後に「コンセンサスレイヤーアップグレード」と呼称変更)の第一段階が開始されました。このアップグレードは「セレニティ」とも呼ばれ、段階的に実施される大規模な変革計画でした。
イーサリアム2.0の主要な目標は2つありました。一つはコンセンサスアルゴリズムをProof of Work(PoW)からProof of Stake(PoS)へ移行することで、エネルギー効率を大幅に改善すること。もう一つはシャーディングと呼ばれる技術を導入し、スケーラビリティ(処理能力)を向上させることでした。
「ビーコンチェーン」と呼ばれる新しいPoSチェーンの立ち上げにより、ステーキングが開始されました。ユーザーは最低32ETHをロックすることでバリデーターとなり、ネットワークの安全性維持に貢献する見返りとしてステーキング報酬を得られるようになりました。イーサリアム2.0の始動は、より持続可能で拡張性の高いブロックチェーンへの移行という長期ビジョンの第一歩となりました。
2022年9月:The Mergeアップデートの成功
2022年9月15日、イーサリアム史上最も重要なアップデートの一つである「The Merge(マージ)」が成功裏に完了しました。このアップデートにより、従来のPoWチェーン(執行レイヤー)とPoSビーコンチェーン(コンセンサスレイヤー)が統合され、イーサリアムは完全にPoSへ移行しました。
The Mergeの最大の成果はエネルギー消費量の99.95%削減です。これにより、イーサリアムの年間電力使用量はビットコインの112テラワット時(TWh)と比較して、わずか0.01TWh程度にまで低減されました。環境への配慮が高まる中、この変革はイーサリアムの持続可能性を大きく向上させました。
また、PoSへの移行により新規発行ETHの量が約90%削減されました。さらに、EIP-1559で導入された手数料の一部焼却メカニズムと組み合わさることで、場合によってはETHの総供給量が減少する「デフレ」状態になることもあります。これらの変化はイーサリアムのトークノミクス(経済設計)を根本から変え、長期的な価値保存手段としての特性を強化しました。
The Mergeは技術的に非常に複雑なアップグレードでしたが、何年もの準備と複数のテストネットでの検証を経て、ユーザー側からはほぼシームレスに実施されました。この成功は、イーサリアム開発チームの技術力と、複雑なコーディネーションを実現したコミュニティの強さを示しています。
2024年3月:Dencunアップデートの実装
2024年3月13日、イーサリアムネットワークは「Dencun(デンクン)」と呼ばれる大型アップグレードの実装に成功しました。当初2023年末に予定されていたものが延期されたもので、特に注目されたのは「EIP-4844」(プロト-ダンクシャーディング)の導入です。
Dencunアップグレードの最大の成果は、レイヤー2(L2)ソリューションのコスト削減です。「ブロブ(blob)」と呼ばれる新しいデータ形式を導入することで、Arbitrum、Optimism、zkSyncなどのL2ロールアップの手数料が最大で90%削減されました。これにより、イーサリアムエコシステム全体のアクセシビリティが向上し、より多くのユーザーが参加できるようになりました。
また、Dencunには他にも「EIP-1153」(トランザクション間のスクラッチストレージ)、「EIP-4788」(ビーコンブロックルートのアクセス)など、複数の改善提案が含まれており、開発者体験の向上とスマートコントラクトの効率化が図られました。
このアップグレードはL2エコシステムの成長を加速させ、イーサリアムのスケーラビリティ戦略であるロールアップ中心のロードマップを大きく前進させました。Dencunは完全なシャーディングへの中間ステップと位置づけられており、イーサリアムが徐々に進化を続けていることを示しています。市場はこのアップグレードを好意的に受け止め、発表後にETH価格は上昇傾向を示しました。
2024年5月:米SECによる現物ETF承認
2024年5月24日、米国証券取引委員会(SEC)はイーサリアム現物ETFを承認しました。ブラックロックやフィデリティ、グレースケールなど計8社の申請が承認され、ETFは5月29日から取引が開始されました。この承認は2024年1月のビットコイン現物ETF承認に続くもので、当初の市場予想より早い決定となりました。
イーサリアムETFの承認は、暗号資産がよりメインストリームの投資対象として認知されるための重要なマイルストーンとなりました。これにより、年金基金や資産運用会社などの機関投資家が規制された環境でイーサリアムに投資できるようになり、新たな資金流入の道が開かれました。
ETF承認直後、イーサリアムの価格は急上昇し、一時4,000ドルを超える水準まで高騰しました。特に注目すべきは、イーサリアムETFが2024年11月後半にビットコインETFの日次流入額を上回ったことです。11月25〜29日の間に4億6,700万ドルの純流入を記録し、投資家心理の変化を示しました。
イーサリアムETFはステーキング報酬を含まないシンプルな現物保有型ですが、将来的にステーキング報酬を組み込んだETF商品が承認される可能性も議論されています。また、ETF承認はトランプ大統領の次男であるエリック・トランプ氏がイーサリアムを推奨するなど、政治的な追い風も受け、仮想通貨に友好的な規制環境の構築への期待が高まっています。
この出来事は、イーサリアムが「オワコン」どころか、伝統的金融システムに徐々に統合されつつある証拠と言えるでしょう。ETF承認によって、イーサリアムの流動性と市場参加者の多様性が向上し、長期的な価格安定性と成長の基盤が強化されています。
イーサリアム(ETH)の価格推移分析
イーサリアムの過去の価格推移を理解することで、現在の市場状況とその将来性をより正確に評価できます。ここでは時期ごとの特徴的な動きを分析し、価格変動の背景要因を解説します。
2015年〜2018年:初期の成長とバブル
イーサリアムは2015年7月の誕生時、1ETH=0.75ドル程度の価格でスタートしました。2016年初頭までは1ドル以下で推移していましたが、スマートコントラクト技術への期待から徐々に価格が上昇し始めます。2016年3月には10ドルを突破し、6月には一時20ドル台まで到達しました。
2017年に入ると、ICO(新規仮想通貨公開)ブームの到来により急激な価格上昇が始まりました。イーサリアムはICOの基盤として広く利用され、ETHへの需要が急増。1月に10ドルだった価格は6月には400ドルを超え、40倍以上の急騰を記録しました。年末にかけてさらに勢いを増し、12月に800ドルを突破。2018年1月には史上最高値となる1,400ドルに到達しました。
この急騰の背景には、アルトコインの隆盛や主要メディアでの報道増加があります。特に日本国内では「仮想通貨億り人」が話題となり、新規投資家が大量に市場参入したことで価格が押し上げられました。わずか2年半で1,800倍以上の価格上昇を遂げ、イーサリアムは仮想通貨市場の主要プレイヤーとしての地位を確立しました。
2018年〜2021年:暗号資産冬の時代から急騰まで
2018年1月のピーク後、イーサリアムの価格は急落に転じます。同年末までに約80%下落して130ドル台まで下がりました。この急落の主な要因は、ICOブームの終焉、規制環境の不確実性、そして全体的な仮想通貨市場の冷え込みでした。
2019年と2020年前半は比較的安定した期間で、イーサリアムは100〜300ドルの範囲で推移しました。この「仮想通貨冬の時代」と呼ばれる期間にも、開発は着実に進められていました。
転機となったのは2020年後半です。DeFiやNFTの人気急上昇、エアドロップによる市場参入者の増加、機関投資家の参入拡大といった要因が重なり、イーサリアムは再び急上昇し始めました。2021年11月にはイーサリアムは過去最高の4,891ドルを記録。特にEIP-1559の導入によるトークノミクスの変更が、イーサリアムの価値上昇に大きく貢献しました。
この期間のイーサリアム価格は、単なる投機的動きを超えて、プラットフォームとしての実用性拡大と密接に関連していました。特に2021年はNFTの爆発的な普及により「デジタル所有権の時代」の幕開けとなり、イーサリアムはその中心的インフラとしての価値を証明しました。
2022年〜2023年:市場の調整期
2022年から2023年にかけて、イーサリアムの価格は停滞期に入りました。2021年11月の過去最高値から大きく下落し、1,000〜3,000ドルの範囲で推移する展開となりました。この停滞の主な要因は以下の3つです。
まず、マクロ経済環境の悪化が挙げられます。インフレや金利上昇により、リスク資産全般が売られる展開となりました。次に、規制環境の不透明さがあります。各国の仮想通貨規制強化の動きが投資家心理を冷やしました。さらに、競合プロジェクトの台頭も影響しました。ソラナなどより高速で低コストのブロックチェーンがイーサリアムのシェアを脅かし始めていました。
一方で、2022年9月に実施された大型アップグレード「マージ」は、イーサリアムの長期的な価値向上につながると期待されました。エネルギー消費量を99.95%削減し、より環境に優しいブロックチェーンへと進化したことで、ESG投資の観点からも評価が高まりました。
2023年後半には米国の利下げ観測も相まって、イーサリアムは緩やかな回復基調に転じ、2,000ドル台を回復しました。この期間のイーサリアムは、短期的な投機から長期的な価値への移行期にあったと言えるでしょう。技術的進化と実用性の拡大が続く中、市場の再評価を待つ状況でした。
2024年〜2025年:最新の価格動向と今後の見通し
2024年から2025年にかけて、イーサリアムの価格は仮想通貨市場全体の活況に乗って上昇傾向を示しました。2024年初頭には3,300ドル台だった価格が、2025年2月には一時4,000ドルを超える水準まで上昇しています。この価格上昇の主な要因として、以下の3つが挙げられます。
- 2024年5月の米SEC現物ETF承認:イーサリアムのスポットETFが承認されたことで、機関投資家の参入が加速しました。
- 2024年11月の米大統領選でドナルド・トランプ氏の再選:仮想通貨に友好的な政策への期待が高まり、市場センチメントが改善しました。
- 2025年3月予定のイーサリアムアップグレード「Pectra」への期待
また週足チャートで見ると、イーサリアムは上昇トレンドを維持しており、2022年6月の安値11万9,000円から順調に安値を切り上げながら上昇していることがわかります。テクニカル分析によれば、70万円から110万円付近が直近の上値メドとなっており、長期的には200万円程度まで上昇できる相場環境にあります。
ただし、イーサリアムの価格上昇率は他の主要仮想通貨に比べると控えめであり、「オワコン」と言われる一因となっています。これにはイーサリアムのオンチェーン収益の減少や、競合チェーンへのシェア奪取などが影響していると考えられます。今後の価格動向は、Pectraアップグレードの成功やETF資金流入の継続、L2エコシステムの成長などに左右されるでしょう。
イーサリアム(ETH)が「オワコン」と言われる理由と真相
イーサリアムはビットコインに次ぐ時価総額を誇る暗号資産ですが、近年「オワコン(終わったコンテンツ)」という評価も一部で聞かれるようになりました。何故そのように言われる理由を分析し、実態を検証してみました。
競合ブロックチェーンの台頭
イーサリアムが「オワコン」と言われる最大の理由は、競合ブロックチェーンの急速な成長です。ソラナ、アバランチ、ポリゴン、カルダノなど、「イーサリアムキラー」と呼ばれる次世代ブロックチェーンが続々と台頭しています。これらのプラットフォームは、イーサリアムの弱点を克服する形で設計されており、特に処理速度と手数料の面で優位性を持っています。
例えば、イーサリアムがピーク時に1秒間に処理できるトランザクション数は約30件ですが、ソラナは最大65,000件、アバランチは4,500件を処理できるとされています。また手数料(ガス代)については、イーサリアムの取引では混雑時に数千円から数万円かかることもあるのに対し、競合チェーンでは数円から数十円程度で取引が可能です。
この性能差により、特にゲームやDeFiアプリケーションなど頻繁な取引が必要な分野では、開発者やユーザーが競合チェーンに流出する現象が起きています。2024年に話題となった「STEPN」や「Saga」などのWeb3ゲームがソラナ上に構築されたことは、この傾向を象徴しています。
ただし、イーサリアムもこの課題に対応すべく「レイヤー2ソリューション」の開発を積極的に推進しています。Arbitrum、Optimism、zkSync、StarkNetなどのL2は、イーサリアムのセキュリティを維持しながら処理能力を大幅に向上させています。2024年3月の「Dencun」アップデートによってL2の手数料が最大90%削減されたことで、競争力の回復が期待されています。
イーサリアム財団の組織的課題
イーサリアム財団に関する問題も、「オワコン」論の根拠として挙げられています。特に批判が集中しているのは、財団による定期的なETH売却です。2025年1月には300ETH(約98万ドル相当)が売却され、これが価格に下落圧力をかけているという批判が広がりました。
また、財団の意思決定プロセスの遅さも問題視されています。イーサリアムのアップグレードはしばしば延期され、「Dencun」も当初予定より数ヶ月遅れて実装されました。この開発速度の遅さが、より迅速に進化する競合プロジェクトとの差を広げているという見方があります。
財団のリーダーシップに対する不満も表面化しており、特に執行役員のアヤ・ミヤグチ氏の辞任を求める声が上がっています。元開発者のマックス・レズニックは「イーサリアムでは政治的な関係構築が求められ、意思決定が迅速ではない」と指摘し、ソラナのプロジェクトに転じました。
こうした批判に対してヴィタリック・ブテリン氏は財団の改革を約束し、技術的専門性を持つリーダーの強化、新しい才能の獲得、エコシステム内のコミュニケーション改善を優先課題に掲げています。特にアプリ開発者への支援強化と、ユーザーがプライバシーやオープンソースの利点を享受できる環境整備を目指す方針を示しています。
発行上限がないことによるインフレリスク
イーサリアムは発行上限が設定されていない点も、「オワコン」論の根拠となっています。ビットコインが2,100万BTC以上発行されないよう設計されていることに対し、イーサリアムは理論上無制限に増加し続ける可能性があります。この違いから、長期的な価値保存手段としてイーサリアムはビットコインに劣るという見方があります。
また、ビットコインには約4年ごとの半減期があり、新規発行量が自動的に減少していくのに対し、イーサリアムにはそうした定期的な供給削減メカニズムが組み込まれていません。これが「長期的に見てETHは希少性が低い」という批判につながっています。
しかし、この批判は必ずしも正確とは言えません。2022年9月の「The Merge」アップデート以降、イーサリアムは「超健全な通貨政策」と呼ばれる新しい経済モデルに移行しました。プルーフ・オブ・ステーク(PoS)への移行により、新規発行量は約90%削減され、同時に「EIP-1559」によって取引手数料の一部が焼却(バーン)されるようになりました。
この結果、ネットワーク活動が活発な場合、焼却量が新規発行量を上回る「デフレ状態」になることもあります。2022年9月から2025年2月までに約30万ETHが純減少しており、この傾向は特にL2の利用増加と共に強まっています。つまり実質的にはビットコイン以上に供給が制限されるケースもあるのです。
発行上限が存在しないことは確かに理論上のインフレリスクとなりますが、実際の供給動態は複雑であり、単純に「価値が希薄化する」という批判は現状に即していません。むしろ、需要拡大に応じて柔軟に供給調整できる点は、実用通貨としては利点とも言えるでしょう。
過去最高値を更新できていない現状
イーサリアムが「オワコン」と言われる最も直接的な理由は、2021年11月に記録した過去最高値4,891ドルを更新できていないことでしょう。2025年2月現在、ETHの価格は4,000ドル前後で推移しており、過去最高値にはまだ20%程度届いていません。
この状況は、ビットコインが2024年3月に過去最高値を更新し、その後も新高値を更新し続けていることと対照的です。また、ソラナやSUI、TONといった競合コインが2〜10倍の価格上昇を見せる中、イーサリアムの上昇率は相対的に鈍い状況が続いています。
価格が伸び悩んでいる背景には、主に以下の要因が考えられます。
レイヤー2ソリューションの普及
イーサリアム本体よりも、その上に構築されたレイヤー2プロトコルへの注目度が高まっています。Arbitrum(ARB)やOptimism(OP)などのL2トークンに資金が流入し、ETH自体への需要が分散しています。
機関投資家の慎重姿勢
イーサリアムETFは承認されたものの、予想されたほどの大規模な資金流入は実現していません。これはETFにステーキング収益が含まれていないことや、ビットコインの「デジタルゴールド」ほど強い投資ストーリーが確立していないことが影響しています。
競合チェーンやAIプロジェクトへの資金流出
仮想通貨市場全体の時価総額は拡大しているものの、その資金の多くが新興プロジェクトに向かっており、ETHへの資金流入が限定的になっています。
ただし、過去最高値を更新できていないことが直ちに「オワコン」を意味するわけではありません。イーサリアム自体の開発は着実に進んでおり、L2エコシステムの成長やDeFi、NFT市場におけるイーサリアムの優位性は依然として強固です。2025年後半に予定されているPectraアップグレードへの期待も高まっており、長期的な成長ポテンシャルは十分残されています。
法規制の不確実性
世界各国での仮想通貨規制の強化とその不確実性も、イーサリアムの先行きに疑問符を投げかける要因となっています。特に米国証券取引委員会(SEC)の動向は市場に大きな影響を与えています。
SECは2023年6月、バイナンスやコインベースを提訴した際に、イーサリアムを含む多くのアルトコインを「証券」として分類しました。証券に分類されると、発行者に厳格な開示義務や登録要件が課されるため、イーサリアムエコシステムの発展にとって大きな障壁となる可能性があります。
また、SECはステーキングサービスに対しても厳しい姿勢を示しています。2023年2月には米コインベースのステーキングサービスが規制対象となり、当時のゲイリー・ゲンスラーSEC委員長はPoSの仕組み自体が証券法に抵触する可能性を示唆しました。イーサリアムはThe Merge以降、PoSに完全移行しているため、この規制リスクは無視できません。
特に懸念されるのは、一般投資家のETHステーキング禁止の可能性です。米国コインベースCEOのブライアン・アームストロング氏は2023年に「SECが小売顧客向けの暗号資産ステーキングを排除しようとしている」という懸念をX(旧Twitter)で表明しました。
もしこれが現実になれば、イーサリアムの大きな価値提案の一つが失われることになります。
ただし、現トランプ政権は暗号資産に関してかなり規制緩和を行う方向で進んでいるため、この可能性は低いといえるでしょう。
イーサリアム(ETH)の今後の将来性
イーサリアムが「オワコン」と言われることもある一方で、その将来性を支える重要な要素も多く存在します。今後の成長可能性と、それを支える具体的な要因について詳しく解説します。
イーサリアムETFが市場に与える影響
2024年5月24日、米国証券取引委員会(SEC)はイーサリアム現物ETFを承認しました。ブラックロック、フィデリティ、グレースケールなど計8銘柄の申請が承認され、5月29日から取引が開始されています。この出来事はイーサリアムの将来性に大きな影響を与えると考えられています。
ETF承認の最大の意義は、機関投資家の参入障壁が大幅に低下した点です。これまで規制や技術的な制約から仮想通貨への投資を見送っていた年金基金、資産運用会社、企業の財務部門などが、規制された安全な環境でイーサリアムに投資できるようになりました。運用資産総額が数百兆円規模の機関投資家が、わずか数%でもポートフォリオにETHを組み入れれば、市場に大きなインパクトをもたらします。
イーサリアムETFへの資金流入は顕著です。2024年7月の取引開始以来、累計5億7700万ドルの純流入を記録しています。特に注目すべきは、2024年11月後半にイーサリアムETFがビットコインETFの日次流入額を上回ったことです。11月25〜29日には4億6700万ドルの純流入を記録し(うち1日だけで4億2800万ドル)、投資家のイーサリアムへの関心の高まりを示しました。
現在のイーサリアムETFはステーキング報酬を含まないシンプルな現物保有型ですが、将来的にはステーキング報酬を組み込んだETF商品が登場する可能性も議論されています。もしこれが実現すれば、年率3〜4%程度のステーキング報酬が得られるETHは、利回りの低い債券や株式に対して魅力的な代替投資先となり得ます。
長期的には、ETFを通じたイーサリアムへの投資が一般化することで、価格のボラティリティ低下や市場の成熟化が進むと予想されます。ビットコインETFが承認から半年以上経った今も純流入を続けていることを考えると、イーサリアムETFへの資金流入も今後数年にわたって継続する可能性が高いでしょう。
アルトシーズンでの位置づけ
仮想通貨市場には「ビットコインシーズン」と「アルトシーズン」という循環サイクルが存在すると言われています。通常、ビットコインが市場の上昇を牽引し、その後イーサリアムなどの大型アルトコインが追随、最終的に小型アルトコインへと投資マネーが移動していくパターンが観察されます。
2024年後半から2025年にかけては、「アルトシーズン」への移行の兆候が見られています。ビットコインドミナンス(全仮想通貨時価総額に占めるビットコインの割合)は10月の61.7%から11月には57.4%、12月には56.5%へと低下しています。これは投資マネーがビットコインからアルトコインへと移動していることを示しています。
ETH/BTCレシオ(イーサリアムのビットコインに対する価格比率)は、11月20日に過去最小レベルの0.032857を記録しましたが、底を打った可能性があります。規制環境の改善と機関投資家による採用の増加が見込まれる中、多くのトレーダーはこの低いETH/BTCレシオを、ビットコインからイーサリアムへのローテーションの好機と捉えています。
イーサリアムはアルトコインの中でも最大の時価総額を持ち、流動性が高いため、ビットコインからアルトコインへの資金移動において「最初の受け皿」となる傾向があります。アルトシーズンが本格化すれば、イーサリアムは最初に恩恵を受けるポジションにいると言えるでしょう。
また、イーサリアムは多くの小型アルトコインのトレーディングペアとしても機能しているため、アルトコイン全体の取引が活発化すると、間接的にETHの需要も高まります。このように、アルトシーズンにおけるイーサリアムの中心的な位置づけは、その価値を支える重要な要素となっています。
ステーキング報酬による長期保有のメリット
イーサリアムの将来性を支える重要な要素の一つが、ステーキングによる安定した報酬です。2022年9月のThe Mergeアップデートにより完全にPoS(プルーフ・オブ・ステーク)に移行したイーサリアムは、保有者がETHをステーキングすることで報酬を得られる仕組みを提供しています。
2025年2月時点では、イーサリアム総供給量の約28%がステーキングされており、年間報酬率は平均3%となっています。この報酬率は伝統的な金融商品と比較しても魅力的な水準です。特にトランプ新政権のもとで金利の利下げが予想される中、3%程度の安定したリターンは投資家にとって価値ある選択肢となるでしょう。
ステーキングには「ロックアップ効果」もあります。ステーキングされたETHは一定期間引き出せなくなるため、市場に流通するETHの供給が制限され、価格安定化につながります。2025年3月に予定されているPectraアップグレードでは、現在の32ETHというバリデータの最大ステーク量を2,048ETHまで引き上げる計画があります。これにより、大規模なステーキングプールの効率が向上し、より多くのETHがステーキングされることが期待されます。
ステーキングにはネットワークセキュリティ強化という側面もあります。ステーキングされたETHが増えるほど、51%攻撃などの悪意ある行為に必要なコストが上昇し、ネットワークの安全性が高まります。このセキュリティと報酬の好循環は、イーサリアムの長期的な価値を支える重要な要素です。
さらに、DeFiプロトコルとの連携によるステーキング報酬の複利運用や、ステーキングデリバティブの拡充など、より高度なステーキング活用方法も広がっています。これらの進化により、イーサリアムのステーキングエコシステムはさらに魅力を増し、長期保有のインセンティブを強化していくでしょう。
DeFi・NFTエコシステムの中心としての成長
イーサリアムの最大の強みは、DeFi(分散型金融)とNFT(非代替性トークン)市場におけるリーダーシップです。2025年2月現在、イーサリアムベースのDeFiプロジェクトのTVL(預かり資産)は694億ドルに達し、ここ数週間で増加傾向にあります。これは分散型金融のプラットフォームとしてのイーサリアムへの信頼が高まっていることを示しています。
DefiLlamaのデータによると、イーサリアムチェーンはDeFi分野での預かり資産において全体の約55%を占め、次点のTronチェーン(約15%)を大きく引き離しています。Uniswap、Aave、Curve、MakerDAO、Compoundといった主要DeFiプロトコルのほとんどがイーサリアム上に構築されており、そのネットワーク効果は非常に強固です。
NFT市場においても、イーサリアムは中心的な存在です。OpenSeaなど主要なNFTマーケットプレイスのトランザクション量の大部分はイーサリアム上で行われています。Bored Ape Yacht Club、CryptoPunks、Art Blocksといった高価値NFTコレクションもイーサリアム上に存在し、NFTのプレミアムセグメントを支配しています。
DeFiとNFTの成長は相互に補完的な関係にあります。NFTを担保にした融資、NFTフラクショナライゼーション(分割所有)、NFT用のインデックスファンドなど、両者を組み合わせた革新的なサービスが次々と誕生しています。このエコシステムの多様性と深さが、イーサリアムの長期的な価値提案を強化しています。
また、現実世界の資産(RWA)のトークン化も進んでおり、不動産、債券、株式、コモディティなどが徐々にイーサリアム上でトークン化されています。MakerDAOのようなプロトコルが実物資産担保のステーブルコイン発行に乗り出すなど、従来金融との融合も進んでいます。この方向性は、数百兆ドル規模の伝統的金融市場からの資金流入ポテンシャルを秘めており、イーサリアムの長期的な成長を支える要因となるでしょう。
今後のアップグレード計画と技術的進化
イーサリアムは継続的な技術革新によって進化を続けており、今後のアップグレード計画が将来性を支える重要な要素となっています。2025年第1四半期には「Pectra(ペクトラ)」と呼ばれる大型アップグレードが予定されており、イーサリアム改善提案(EIP)の数において過去最大級のハードフォークとなる見込みです。
Pectraアップグレードでは、プロトコルの効率性向上、ユーザー体験の改善、データ容量の拡大を目指すとともに、将来のスケーラビリティ強化への道を開きます。具体的には、バリデータの最大残高上限の引き上げや、スマートコントラクトの最適化、ブロブガス制限の緩和などが含まれます。
Pectra以降も、イーサリアムは「The Surge」「The Scourge」「The Verge」「The Purge」「The Splurge」という段階的なアップグレード計画を持っています。ヴィタリック・ブテリンが示したこのロードマップは、イーサリアムの長期的なビジョンを表しています。
これらのアップグレードを通じて、完全シャーディングへと進化することで、イーサリアムの処理能力は現在の数十倍〜数百倍に拡大する可能性があります。また、ステートレスクライアントやVerkle Treesなどの技術により、ノードの運用コストが大幅に削減され、ネットワークの分散性が高まることも期待されています。
EVM(イーサリアムバーチャルマシン)の改良やzk-SNARKsなどのプライバシー技術の統合も計画されており、より高度なスマートコントラクトやプライバシーを保護したトランザクションが可能になるでしょう。
さらに、イーサリアムのレイヤー2エコシステム(Arbitrum、Optimism、zkSyncなど)も急速に発展しており、これらとメインチェーンの統合が進むことで、シームレスなクロスレイヤー体験が実現される見込みです。2024年3月のDencunアップデートによってL2の手数料が大幅に削減されたことで、この発展は加速しています。
このような技術的進化により、イーサリアムは競合チェーンの脅威に対抗しつつ、ブロックチェーン技術の最前線に立ち続けることができるでしょう。長期的かつ段階的なアップグレード計画は、イーサリアムが「オワコン」ではなく、むしろ持続的に進化するプラットフォームであることを示しています。
イーサリアム(ETH)が買えるおすすめの国内取引所3選
イーサリアム(ETH)を取引できる国内の暗号資産(仮想通貨)取引所は限られています。本記事では、実績と信頼性が高い3つの取引所を厳選して紹介します。各取引所は金融庁に正式に登録されており、セキュリティ面でも信頼できる運営を行っています。
取引所選びのポイントは、手数料体系、セキュリティ対策、取引ツールの使いやすさなど、複数の観点から総合的に判断することが重要です。また、取引所ごとに特徴的なサービスも提供されているため、自身の取引スタイルに合った選択が求められます。
以下、各取引所の詳細について解説していきます。
Coincheck(コインチェック)
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マネックスグループ傘下の取引所で、アプリの使いやすさに定評があります。特に初心者向けのわかりやすい取引画面と、31種類の豊富な取扱通貨が特徴です。
また2025年1月よりイーサリアム(ETH)のステーキングサービスを開始したことも話題になりました。
コインチェックのステーキングは手続きや申し込みが不要で、イーサリアムを保有するだけで報酬が得られる画期的なサービスです。
ステーキングとは、暗号資産を保有したまま報酬を得られる新しい投資方法です。株式投資における配当金のように、資産を持っているだけで定期的な収益を得ることができます。
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メリット・デメリット
メリットとして、スマートフォンアプリの操作性の高さが挙げられます。直感的な操作で取引ができ、チャートの見やすさも特徴的です。また、取引所形式での取引手数料が無料なのも大きな魅力です。
メリット | デメリット |
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・アプリの使いやすさ ・取引所取引の手数料無料 ・豊富な取扱通貨数 | ・販売所でのスプレッドが比較的高め ・出金手数料が高め ・レバレッジ取引非対応 |
デメリットとしては、販売所での価格スプレッドが他社と比べて若干高めな点や、出金手数料が407円かかる点が挙げられます。また、レバレッジ取引に対応していないため、レバレッジ取引を検討している方は他の取引所も検討する必要があります。
手数料体系
Coincheckの手数料体系は以下の通りです。特に取引所取引の手数料が無料である点は、初心者にとって大きなメリットとなります。
取引種別 | 手数料 |
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販売所取引 | 無料(スプレッド差あり) |
取引所取引 | 無料 |
日本円出金手数料 | 407円 |
暗号資産出庫手数料 | 通貨により異なる |
入金手数料は銀行振込の場合無料ですが、クイック入金やコンビニ入金を利用する場合は別途手数料がかかります。
取扱通貨と特徴
31種類の暗号資産(仮想通貨)を取り扱っており、主要な暗号資産(仮想通貨)からアルトコインまで幅広く取引が可能です。特に以下の通貨の取引が人気です。
- ビットコイン(BTC):最も取引量が多い基軸通貨
- イーサリアム(ETH):スマートコントラクトプラットフォーム
- リップル(XRP):送金速度が速く、金融機関での採用も進む
また、NFT(非代替性トークン)マーケットプレイスの提供や、暗号資産(仮想通貨)の積立サービスなど、投資以外のサービスも充実しています。取引所としての機能に加えて、暗号資産(仮想通貨)の活用の幅を広げられる点も特徴です。
bitbank(ビットバンク)
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bitbankは、セキュリティの高さで定評のある取引所です。特に第三者機関からの評価が高く、2018年にはセキュリティ性能で日本一の評価を受けています。
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メリット・デメリット
最大の特徴は、取引所取引のスプレッドの狭さです。特にビットコイン/円の取引ペアは、国内でも最も安価な水準での取引が可能です。また、40種類以上という豊富な取扱通貨も魅力です。
メリット | デメリット |
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・取引所取引のスプレッドが狭い ・セキュリティ体制が充実 ・取扱通貨数が多い | ・スマホアプリの機能が限定的 ・出金手数料が高め ・カスタマーサポートの応答が遅い場合がある |
デメリットとしては、スマートフォンアプリの機能が比較的限定的である点が挙げられます。また、出金手数料が最大770円とやや高めな点も考慮が必要です。
手数料体系
手数料体系は以下の通りで、特に取引所取引の手数料が業界最安水準である点が特徴です。
取引種別 | 手数料 |
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取引所取引(Maker) | -0.02%(リベート) |
取引所取引(Taker) | 0.12% |
日本円出金手数料 | 300円〜770円 |
暗号資産出庫手数料 | 通貨により異なる |
取扱通貨と特徴
40種類の暗号資産(仮想通貨)を取り扱っており、国内取引所の中でもトップクラスの品揃えです。主な取扱通貨は以下の通りです。
- 主要通貨:ビットコイン、イーサリアム、リップルなど
- DeFi関連:Polkadot、Chainlinkなど
- 国内人気通貨:モナコイン、ネムなど
また、信託保全制度を導入しており、顧客の資産を信託銀行で保管することで、万が一の場合でも資産が保護される仕組みを整えています。
GMOコイン
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東証プライム上場企業のGMOインターネットグループが運営する取引所で、豊富な取引ツールと充実したサポート体制が特徴です。
メリット・デメリット
GMOコインの最大の強みは、取引ツールの充実度です。初心者向けのシンプルな取引画面から、上級者向けの高機能なチャート分析ツールまで、幅広いニーズに対応しています。
メリット | デメリット |
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・取引ツールが充実 ・レバレッジ取引対応 ・24時間日本語サポート | ・取扱通貨数が比較的少ない ・スプレッドが変動しやすい ・システム障害の発生頻度 |
手数料体系
入出金手数料が完全無料という点が大きな特徴です。取引所取引の手数料も業界最安水準を維持しています。
取引種別 | 手数料 |
---|---|
取引所取引(Maker) | -0.01%(リベート) |
取引所取引(Taker) | 0.05% |
レバレッジ取引手数料 | 0.04%/日 |
入出金手数料 | 無料 |
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取扱通貨と特徴
GMOコインでは28種類の暗号資産(仮想通貨)を取り扱っています。特にレバレッジ取引対応の通貨が多いことが特徴です。
- レバレッジ取引対応:BTC、ETH、XRP、BCHなど主要通貨
- 積立投資対応:全ての取扱通貨に対応
- 貸暗号資産サービス:高金利での運用が可能
また、アプリの機能性も高く、プッシュ通知による価格アラート機能や、チャート分析ツールなども充実しています。取引所としての機能に加えて、投資をサポートする様々な機能が用意されています。
まとめ:イーサリアム(ETH)は本当にオワコンなのか?
「イーサリアムはオワコンなのか」という問いに対する答えは、様々な角度から考察した結果、「オワコンではない」と言えるでしょう。確かに、競合ブロックチェーンの台頭、財団の組織的課題、過去最高値の更新難航など、いくつかの課題が存在します。しかし、これらの問題はイーサリアムの根本的な価値提案を損なうものではなく、むしろ成長過程で生じる課題と捉えるべきでしょう。
長期的に見れば、イーサリアムはデジタル経済の基盤インフラとしての地位を固めつつあります。特に、実世界資産(RWA)のトークン化や、ポスト半導体時代の計算インフラとしての可能性は、イーサリアムの新たな成長フロンティアとなるでしょう。2025年に予定されているPectraアップグレードを始めとする技術的進化も、イーサリアムの競争力強化に貢献するはずです。
結論として、イーサリアムは「オワコン」どころか、ブロックチェーン技術の最前線を走り続けている革新的なプラットフォームであり、デジタル経済における重要性は今後も高まっていくでしょう。課題はありますが、それらを克服しながら進化を続けるイーサリアムの将来には、大きな可能性が広がっています。
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