カブアンドガスの料金は、各地域の大手都市ガス会社の標準料金(一般料金)と同額に設定されています。
ただし、新規参入のガス会社と比較すると、カブアンドガスは割高になるケースがあります。例えば、エルピオ都市ガスの場合、東京ガスエリアの3人世帯で年間3,500円程度安くなります。
特に注意が必要なのは、ガスの床暖房やガス浴室乾燥機などの特殊なガス機器を設置している家庭です。これらの機器がある場合、従来の大手ガス会社では特別割引料金が適用されることが多く、カブアンドガスに切り替えると料金が割高になる可能性が高くなります。更に詳しく解説していきます。
カブアンドガスとは
ZOZO創業者・前澤友作氏が手がけるガスサービス
カブアンドガスは、ZOZO創業者として知られる前澤友作氏が代表を務める株式会社カブ&ピースが提供する都市ガスサービスです。2024年9月末時点での株主構成は、前澤友作氏が70%、株式会社前澤ファンドが20%、株式会社グーニーズが10%となっており、実質的に前澤友作氏の個人企業として運営されています。
カブアンドガスの最大の特徴は、利用料金に応じて株引換券が付与される点です。この引換券は、カブ&ピース社の未公開株(種類株式)と交換することができ、通常会員で利用料金の1%、KABU&プラス会員で2%分が付与されます。
このサービスは、一般的なポイント還元とは異なり、将来の株式価値の上昇による利益が期待できる点が特徴的です。ただし、上場までは株式の売却が制限される可能性があるため、長期的な視点での資産形成を目指す利用者に適しています。
ガス供給の仕組みと対応エリア
カブアンドガスは、既存の都市ガス会社のインフラを活用してサービスを提供しています。ガスの販売には法律で定められた保安検査体制の整備やガスの調達が必要ですが、これらをゼロから構築するには多額の投資が必要となります。
そのため、カブアンドガスは以下のエリアで、それぞれの提携会社を通じてガスを供給しています。
対応エリア | ガス供給元 |
---|---|
東京ガスのエリア | CDエナジー |
大阪ガスのエリア | 大阪ガス |
東邦ガスのエリア | ミツウロコグリーンエネルギー |
西部ガスのエリア | ミツウロコグリーンエネルギー |
品質や安定供給については、既存の都市ガスと全く変わりありません。これは、同じガス導管を使用してガスを供給するためです。また、ガス漏れなどの緊急時対応も、従来通り地域の都市ガス会社が担当します。
カブアンドガスのメリット
カブアンドガスのメリットとして、未公開株の付与、無料での契約、そしてガスの品質維持が挙げられます。特に他社にはない独自の株式還元制度は、長期的な資産形成の観点から注目を集めています。一般的なポイント還元と異なり、企業価値の向上に伴う株価上昇の可能性があることが大きな特徴です。また、初期費用や解約違約金が不要なため、気軽にサービスを試すことができます。
未公開株が付与される仕組み
カブアンドガスでは、ガスの利用料金に応じて「株引換券」が付与されます。付与率は通常会員で利用料金の1%、KABU&プラス会員では2%となっています。この株引換券は、カブ&ピース社の未公開株(種類株式)と交換することができます。
一般的なポイント還元では、1ポイント=1円というように価値が固定されていますが、株式の場合は企業価値の向上に応じて価値が上がる可能性があります。例えば、100円分の株引換券が、将来的に200円や500円の価値になる可能性があります。
株式交換は2025年4月25日に発表される株価を基準に、5月2日から23日までの期間で実施される予定です。長期的な視点で資産形成を考える方や、新しい投資機会を探している方に適したサービスといえます。
株式の将来的な値上がり期待
カブアンドガスの株式には、将来的な値上がりの可能性があります。これは、前澤友作氏の過去の実績や、生活インフラという安定したビジネスモデルに基づいています。特に、ZOZOの成功事例があることから、多くの投資家が注目しています。
株価上昇の要因として、事業規模の拡大や収益性の向上が考えられます。カブアンドは電気、ガス、通信など複数の生活インフラサービスを展開しており、サービス間のシナジー効果による企業価値向上も期待されています。
株主優待制度の可能性
将来的に株主優待制度が導入される可能性もメリットの一つです。多くの上場企業では、株主に対して自社サービスの割引や特別なサービスを提供する株主優待制度を設けています。
カブアンドの場合、電気やガス、通信など生活に密着したサービスを多く展開しているため、これらのサービスと連携した魅力的な優待制度が期待できます。さらに、前澤友作氏の過去の経営手法から、独創的な株主還元策が実施される可能性も考えられます。
解約違約金・初期費用が無料
カブアンドガスは、初期費用が一切不要で利用を開始できます。また、途中解約する場合でも違約金は発生しないため、リスクを最小限に抑えてサービスを試すことができます。
支払い方法は、口座振替とクレジットカード払いに対応しています。特別な工事も必要ないため、オンラインでの申し込み手続きだけでスムーズにサービスを開始できます。これは、既存のガスインフラを活用してサービスを提供しているためです。
このように利用のハードルが低い点は、新しいサービスであるカブアンドガスの大きな利点といえます。ガス料金の支払いと資産形成を組み合わせた新しい試みに、気軽にチャレンジできる環境が整っています。
ガスの品質・安定供給は変わらない
カブアンドガスに切り替えても、ガスの品質や安全性は従来と全く変わりません。これは、実際のガス供給を各地域の大手ガス会社や提携会社が担当しているためです。同じガス導管を使用してガスを供給するため、品質面での違いは一切ありません。
また、緊急時の保安体制も従来通り維持されます。ガス漏れなどの緊急事態が発生した場合は、各地域のガス会社が24時間体制で対応します。法律で定められた保安検査なども、既存のガス会社の基準に従って確実に実施されます。
供給の安定性も確保されています。2017年からのガス自由化により、東京電力や関西電力などの電力会社、ENEOSなどの石油会社も参入していますが、インフラ設備は既存のガス会社が継続して管理・運営しているため、安定したガス供給が保証されています。そのため、品質や安全性を心配することなく、安心してサービスを利用できます。
カブアンドガスのデメリット・注意点
カブアンドガスには、いくつかの重要な注意点があります。特に気をつけるべきは、料金面での割高感です。新規参入のガス会社と比較すると、より安価なプランを見つけられる可能性があります。また、未公開株のリスクや限定的なサービスエリアについても、事前に理解しておく必要があります。
ガス料金が割高になるケース
カブアンドガスの料金体系は、各地域の大手ガス会社の一般料金と同水準に設定されています。しかし、新規参入のガス会社と比較すると、より割安なプランを提供している会社が多く存在します。例えば、エルピオ都市ガスでは、東京ガスエリアの3人世帯で年間3,500円程度の節約が可能です。
特に注意が必要なのは、ガスの床暖房やガス暖房機器、ガス浴室乾燥機、エネファーム(家庭用燃料電池)などの特殊なガス機器を使用している家庭です。これらの機器がある場合、従来の大手ガス会社では特別割引料金が適用されることが多く、カブアンドガスに切り替えることで料金が大幅に高くなる可能性があります。
また、原料費調整制度にも注意が必要です。カブアンドガスには原料費調整単価の上限がないため、原料価格が高騰した際には、大手ガス会社よりも料金が高くなるケースがあります。
従来のガス会社との料金比較
実際の料金比較を世帯人数別に見てみましょう。以下は、標準的な使用量での月額料金の比較です。
世帯人数 | 月間使用量 | カブアンドガス | 大手ガス会社一般料金 | 新規参入ガス会社最安値 |
---|---|---|---|---|
1人世帯 | 17m³ | 4,029円 | 4,029円 | 3,800円前後 |
2人世帯 | 31m³ | 5,952円 | 5,952円 | 5,600円前後 |
3人世帯 | 39m³ | 7,225円 | 7,225円 | 6,800円前後 |
4人世帯 | 40m³ | 7,384円 | 7,384円 | 7,000円前後 |
未公開株の値下がりリスク
未公開株には大きなリスクが伴います。会社の業績が悪化した場合や、市場環境が変化した場合には、株式の価値が下落する可能性があります。最悪の場合、会社が倒産すれば株式の価値はゼロになります。
また、未公開株は換金性に大きな制限があります。カブアンド社が証券取引所に上場するまでは、自由な売買ができない可能性が高く、必要なときに現金化できないリスクがあります。上場後も、ロックアップ期間が設定される可能性があり、すぐには売却できない場合があります。
さらに、株価の変動リスクも考慮する必要があります。上場株式と同様に、経済情勢や市場環境の変化によって価格が変動する可能性があります。通常のポイント還元と違い、確定的な価値保証がないことを理解しておく必要があります。
限定的な対応エリア
カブアンドガスは、4つの大手都市ガス会社のエリアのみでサービスを提供しています。具体的には、東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスの供給エリアに限定されており、その他の中小都市ガス会社のエリアでは利用できません。
特に大きな制限となるのは、プロパンガス(LPガス)への非対応です。日本の住宅の約4割がプロパンガスを使用していますが、これらの家庭ではカブアンドガスを利用することができません。プロパンガスから都市ガスへの切り替えには、大規模な工事が必要となるため、現実的な選択肢とはなりません。
また、対応エリア内でも、マンションやアパートでは管理組合や所有者の承認が必要になるケースがあります。集合住宅の場合、建物全体での契約形態によっては、個別に契約を変更できない場合もあります。利用を検討する際は、事前に物件の契約形態や制約を確認する必要があります。
カブアンドガスの申し込み方法
カブアンドガスへの申し込みは、オンラインで完結する仕組みになっています。工事や立ち会いは不要で、現在契約中のガス会社への解約連絡も必要ありません。ただし、申し込みの前に対象エリアであることの確認と、必要書類の準備が重要です。また、新規でのガス開通には対応していないため、既存のガス契約からの切り替えのみ受け付けている点に注意が必要です。
オンライン申し込みの手順
申し込み手順は以下の流れで進みます。まず、カブアンドガスの公式サイトにアクセスし、「申し込む」ボタンから手続きを開始します。基本的な個人情報の入力に加え、現在利用中のガス会社の情報が必要になります。
申し込みフォームでは、以下の情報を入力していきます。 氏名、生年月日、電話番号、メールアドレス
現住所と供給地点特定番号
支払い方法の選択(クレジットカードまたは口座振替)
入力内容に問題がなければ、利用規約への同意と申し込み内容の最終確認を行います。この時点で契約意思の確認が完了し、正式な申し込みとなります。なお、申し込み完了後はメールで確認通知が届きます。
必要書類と準備物
申し込みに必要な書類や情報は、主に現在利用中のガス会社の契約情報です。検針票があれば、ほとんどの必要情報を確認することができます。具体的に必要な情報は以下の通りです。
必要な情報 | 確認方法 | 備考 |
---|---|---|
供給地点特定番号 | 検針票または請求書 | 22桁の数字 |
お客さま番号 | 検針票または請求書 | 現在の契約番号 |
支払い情報 | クレジットカードまたは通帳 | 支払い方法により選択 |
口座振替を選択する場合は、口座情報の入力も必要です。通帳やキャッシュカードを手元に用意しておくと、スムーズに手続きを進めることができます。また、クレジットカード払いを選択する場合は、カード情報の入力が必要になります。
申し込み後の流れ
申し込み完了から利用開始までは、通常1~2週間程度かかります。この間、特別な工事や立ち会いは必要ありません。切り替えの具体的な流れは以下のようになります。
まず、申し込みから1営業日以内に申し込み受付完了メールが届きます。このメールには、契約内容の確認や供給開始予定日が記載されています。その後、カブアンドガスによる申し込み内容の確認作業が行われます。
供給開始日が近づくと、最終確認のメールが届きます。このメールで、実際の供給開始日が通知されます。供給開始日には、検針員が通常の検針作業を行い、この時点で正式にカブアンドガスの供給が開始されます。なお、既存のガス会社との契約は自動的に終了するため、利用者側で解約手続きを行う必要はありません。
なお、KABU&プラス会員への登録を希望する場合は、供給開始後に別途申し込みが必要です。プラス会員になると株引換券の付与率が2倍になるため、株式投資に興味がある方は検討する価値があります。
プロパンガス利用者の切り替え方法
現在プロパンガスを利用している場合、カブアンドガスへの直接的な切り替えはできません。カブアンドガスは都市ガスのサービスであり、プロパンガスとは供給方式が異なるためです。ただし、お住まいの地域や建物の状況によっては、都市ガスへの切り替えが可能な場合があります。まずは切り替えの可否を確認することから始める必要があります。
プロパンガスからの切り替え条件
プロパンガスから都市ガスへの切り替えには、いくつかの重要な条件があります。まず、お住まいの地域が都市ガスの供給エリア内であることが必須です。具体的には、以下の条件を満たす必要があります。 都市ガスの供給管が道路に埋設されている
建物までのガス管引き込みが技術的に可能
建物の所有者(オーナー)の承諾が得られる
都市ガスの供給エリアであっても、道路からの距離や地形の関係で切り替えができない場合があります。また、集合住宅の場合は建物全体での対応が必要となるため、個別での切り替えは困難です。
まずは地域の大手ガス会社に切り替え可能性の調査を依頼することをお勧めします。調査は通常無料で行われ、切り替えの可否や概算費用を確認することができます。
切り替えにかかる費用と期間
プロパンガスから都市ガスへの切り替えには、かなりの費用と時間が必要です。主な費用項目と期間は以下の通りです。
項目 | 概算費用 | 備考 |
---|---|---|
本支管工事費 | 0~数百万円 | 道路までの距離により変動 |
内管工事費 | 10~30万円 | 建物内の配管工事 |
ガス機器交換費用 | 10~50万円 | 既存機器の適合状況により変動 |
工事期間は、申請から完了まで通常2~3ヶ月程度かかります。ただし、道路工事が必要な場合は、行政手続きや工事の調整により、さらに長期化する可能性があります。また、既存のガス機器も都市ガス用に交換や調整が必要となります。
まとめ:カブアンドガスの料金と特徴
カブアンドガスの最大の特徴は、ガス料金に応じて未公開株がもらえるという独自の還元システムです。通常会員で利用料金の1%、KABU&プラス会員では2%の株引換券が付与され、将来的な資産形成の可能性があります。
料金面では、大手ガス会社の一般料金と同水準に設定されています。ただし、新規参入のガス会社と比較すると割高になる可能性があり、特にガス暖房機器などを使用している家庭では、既存の割引料金と比べて大幅に高くなるケースがあります。
主なメリット | 主なデメリット |
---|---|
未公開株が付与される | 他社より料金が割高な場合がある |
初期費用・解約違約金が無料 | 未公開株の値下がりリスクがある |
ガスの品質は従来通り | 対応エリアが限定的 |
サービス選択の判断基準として、以下の3点を重視することをお勧めします。 長期的な資産形成の意向があるか
現在の料金プランと比較して経済的か
対応エリア内に居住しているか
特に注目すべきは、株式投資としての側面です。値上がり期待がある一方で、未公開株特有のリスクも存在します。これらを総合的に判断した上で、自身のライフスタイルや投資方針に合わせて検討することが重要です。
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